アルビノ少女の長編サスペンス小説『呪術』(初瀬礼・新潮社)

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この小説は、素直に言って面白い!
しかもアルビノの少女が主人公で、僕がちょこっと関わらせてもらったので。
イチ推します。

呪術
新潮社
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アフリカ大陸で今も受け継がれる「呪術」。多くは快癒や商売繁盛のための呪いだが、中には呪いで相手を死に至らしめる呪術師もいるという―。仕事でモロッコを訪れていたツアーコンダクターの麻衣は、突如テロに巻き込まれる。ピンチをくぐり抜けた後、偶然救うことになったのは、呪術師に追われるアルビノの少女・ケイコだった。その肉体は、呪術の最高の材料だというのだ。麻衣はケイコを連れ日本に渡るが、待ち受けていたのはさらなる危機。不穏な動きを察知した警視庁公安部の「落伍者」園部と共に、「敵」を迎え撃つ計画を練るが―。

このブログでも、僕のTwitterでも時々話題にしている、現代に“実在する「アルビノ狩り」の事件”を題材に、裏社会、警察、メディア…、様々な世界が交錯するサスペンス小説。

長編小説を読むのが久しぶりだった僕は、少し気張ってページを開いたのだけれど。
アルビノについても丁寧に取材した上で描かれてるし、テンポ感も良く、ドキドキしながらアッという間に読み切ってしまいました。
特に、舞台を日本に移した後半のスピード感は、頭の中でもう実写化しているように一気に楽しめましたねえ。

というのも。僕も後になって知ったのですが。

現代の悲劇「アルビノ狩り」を知っていますか ―異色作家が小説の中で伝えたかったこと― | 読書 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

こちらは作者の初瀬礼さんが書いた記事なのですが、プロフィールが。

フジテレビジョン勤務。入社以来、20年余りにわたり報道畑を歩み、社会部記者やモスクワ特派員、ディレクターを経験。

フジテレビの記者!がっちりメディアマンですよ。
だからかあ…、と思ったのです。

アルビノについての記述が、小説や漫画、その他でも何かしらのコンテンツに登場すると、それはまあ、アルビノ本人でエンターテイナーの僕としては気になるわけで。
それが、ネットでチラ見しただけでテキトーに描かれたものだと、もうそこで引っかかっちゃって、読み進める気にならなくなってしまうのですよ。
その点、この作品。

「アルビノが主人公の小説を書いているんですが…」と僕にご連絡くださって、実際に会って、話を聞いて、人を見て、書き上げていったそうなんです。
僕は、メディアマン魂だと思いました。
雰囲気でテキトーなことを「まあ小説なんで」って出しちゃうような雑なことをしない。
そりゃあもちろん、小説は物語なんだけれど。
けれど、リアリティを、しっかり描いていらっしゃる。
それが、作中で明かされる”真相”に、強い説得力を持たせられている理由なんだろうなあ、って。

サスペンスなので、基本的にハラハラ・ドキドキなのですが、アルビノ・エンターテイナーとしてこの国に、現代に生きる僕としては、この物語が本当であってほしいような、けれど現実にはならないでほしいような。
いろんな思いがムズムズする、気持ち良い物語でした。

どうぞ、ぜひ。

初瀬礼 『呪術』 | 新潮社

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