アルビノの「弱視」とは何なのか。できるだけわかりやすく説明してみます。

アルビノ(アルビニズム)
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生まれつき体内にメラニン色素が無い(またはほとんど無い)アルビノの僕らは、弱視であることが多いです。
弱視 | 日本弱視斜視学会

少し昔に、そうして僕はアルビノの視力の弱さ・見えづらさを説明するのをやめた | ハフポストという記事を自分で書きましたが。
それからも人から「どれくらい見える(見えない)の?」「なんでメガネやコンタクトレンズで見えるようにならないの?」と聞かれるたび、パシッと説明できないのが、どうにもモヤモヤしていたんですよね…。

そんなわけで、自分のモヤモヤを解消するべく…、そして同じようにややこしい説明が面倒くさくてモヤモヤする人もいるんじゃないかと思い、できるだけわかりやすく説明をしようと決めました。

アルビノだと、なぜ弱視なのか?

低視力によるピンボケ状態 | 日本アルビニズムネットワーク – JAN
このページを参照するとわかるのですが、ちょっと小難しいので…要約しました。

■ アルビノには「黄斑低形成(おうはん ていけいせい)」の特徴が見られる
これは、眼球の内部の形成異常とのことです。
そして「黄斑(部)」とは、目をカメラで例えるとフィルムにあたる「網膜(もうまく)」の中心部分で、色や形を識別する視細胞が密集していて「見る機能」の重要部分を担当しているところです。

眼球内部のイラスト
無料イラストなら「イラストAC」

…つまり、焦点が合うとか合わないとかよりもっと内部的な「像を受ける側で見えていない」のです。
もう少し具体的に表現するなら「像の情報が入ってきていても情報として正常に処理できない」ので、視細胞などなどが「上手く見る機能しきれていない」ということです。

■ 黄斑低形成は眼球の内部の話
ということなので、カメラで例えると…「よく見える」ようにピントを合わせるため、レンズやフォーカスリングを動かして使いますが、それらの機能を補助・調整するところの「メガネ」や「コンタクトレンズ」、またはレーシック手術などでは、この「見えなさ」は解決できません。
極端に言うと「ピントが合っていたとしても、フィルムにはきれいに見えていない」のです。

ほかにも「羞明」や「眼振」「斜視」などが

アルビノは体内にメラニン色素が無いので、目に入る光の量を調整する虹彩(こうさい)の色も薄くなります。
俗に「黒目」と呼ばれる虹彩に、メラニン色素が無くて色が付いていないということは、目に入る光の量を普通の人と同じようには調整できず、かなり眩しく感じます。
そして…眼球内にも色素が無いということで、さらに普通の人より眩しく感じる現象があります。
これを「羞明(しゅうめい)」と言いますが、僕の解釈で、眼球=ひとつの部屋として例えると…。
普通の人:茶色や黒の壁紙の部屋で、遮光カーテンを適度に調節しながら快適に暮らしている。
羞明の人:真っ白な壁の部屋の中で、遮光カーテンの無いまま光の差し込む窓を眺めている。
こんなふうに、入ってくる光の量や、中で光を反射(または吸収)する調整力が弱いと、普通の人より眩しく感じる羞明という症状と言えます。

アルビノの虹彩と羞明

また、羞明のほかにも。
自分の意識とは関係なく眼球がけいれんしたように動いたり揺れたりしてしまう眼振(眼球振盪(がんきゅう しんとう))や、瞳が見ている方向と違う方に向いてしまう斜視(しゃし)という症状があったりします。
これは、黄斑低形成が原因だったり、他の要因で起こったりもするとのことなので、詳しくは別で。

世にある「視力検査」では無理

いわゆる視力検査は上のツイートに書いたように、5メートル距離がある文字やランドルト環がどれくらい見えるかという遠見視力、で測ります。
これは、カメラのレンズ・フィルムで例えてみますと。
普通の人:レンズでピントを合わせて、フィルムにくっきり写せれば「読める」。
黄斑低形成の弱視:くっきり写せるフィルムじゃないので、ピントを合わせようとしても「読めない」。

視力検査のピンぼけ
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この「見えてなさ」を再現するのはとても難しいのですが、簡単に伝えようとしてみますと。
上の画像のように「ピントが合っていない」状態でも、うっすら「どの方向が空いているか」はわかりますよね。
普通の人は「ピントを合わせた上でどこまで見えるか」を測れる視力検査ですが、僕らとしては「そもそもピントは合わないけど見えるのか見えないのか」を測る状態になってしまうということです。
こうして「はっきり見えていないけど視力検査では見えたことになる」のが、ややこしいところです。

「勘」も駆使して世界を見ている「弱視」

結果として、
○ カメラで例えると「レンズでのピント調整じゃなくてフィルムにきれいに写せない問題」
○ お部屋で例えると「カーテンや壁紙で部屋の中の明るさを上手く調整できない(羞明)問題」
などが、僕らアルビノの弱視の正体です。

これを踏まえて僕らは、
○ 物理的に大きくする=対象に近づく・ルーペや望遠鏡など拡大/ズーム機能を使う
┗ それでも「くっきり見えるわけじゃない」ので上の視力検査の例のように「多分こうだろう」と「推測して読む」
というような、ある程度の工夫や経験で物を「できるだけ認識して」いたり
○ 帽子などで遮光したりサングラスなどで光量を調節する
┗ なので本当は薄暗いくらいの室内で「手元だけ明るく」したり「PCやスマートフォンなどの画面を見る」ほうが見えやすい
というように、環境を細々とカスタマイズして暮らしていたりします。

一緒に暮らしている家族にさえ、説明するのが難しい。
なるべく理解したいけれど、説明されてもわからない。
そんなややこしいアルビノの弱視ですが、なるべく多くの関係者みなさんが、理解できたら良いな、と思います。

参考:
日本アルビニズムネットワーク – JAN
○ 2.黄斑ってなんですか | 加齢黄斑変性 なぜ?どうするの | 目についての健康情報 | 公益社団法人 日本眼科医会
「虹彩」と「瞳孔」の不思議|参天製薬
斜視・弱視の病気の説明 | 日本弱視斜視学会
「斜視」は治療しないといけない病気なのか | ハフポスト

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