主に昭和生まれの僕たちには、思い出を大切に録画して保存しておくためにVHSのビデオテープを使うのが当たり前だった。
今から40~50年前の、昭和50年代。
それまで「テレビ番組を家で録画して、いつでも好きな時に見られる」なんて概念が無かった中、ビデオテープとビデオデッキが登場し、多くの一般家庭に普及していった。
今から20年ほど前の2000年代には、PCの普及とともにDVD-Rも徐々に一般化し、テレビ番組もDVDデッキで録画する文化が拡がっていった。
その後、今から10年ほど前の2011年にはテレビ放送が完全に地デジ化となり、DVD-Rでの録画も物足りなくなっていき。
ハードディスクレコーダーや、テレビに直接HDDを繋いで録画できるよう進化を続けてきた折、近年ではネット配信が定着してきたこともあって…「録画しておく」という行為そのものも、段々と重要ではなくなってきたように感じる。
そんな時代の大波の中、2016年7月には国内でのビデオデッキの生産が完全に終了している。
さて。
2022年の今更、手元に大切に保存してあるVHSビデオテープは、どうしたものか。
選択肢は「捨てる」or「移す」の2択のみ
上に書いた通り、とっくに家にビデオデッキなんて再生機は無い。
そしてもう世の中では生産されないビデオデッキ。
中古のものを探せば見つかりはするものの、ある意味で希少価値・プレミアム価格が付いている始末。
そもそももうこのままでは“一生見ることが物理的に出来ない”ビデオテープたち。
それに、結構かさばり邪魔になる、ビデオテープ。
けれどやっぱり…大切な思い出を録画してあるビデオテープは、捨てられない。
僕の場合は、大学時代に参加した演劇企画の記録映像とか、学生での自主制作映画とか。
…まあ仮に、見られるとしても一生見返さない可能性もあるのだけれど。
パッケージ化も配信もされることはない、捨ててしまったら本当に無かったものになってしまいそうな思い出という人生の一部。
ずっと「どうにかしたい」と思い続けていた。
何度も「もう捨てちゃっても…」と思いながら、けれど捨てられない。
引っ越しのたびに「かさばるな…見ることも出来ないのに…」と思いながら。